再来

6/10
前へ
/39ページ
次へ
幸い、この交差点は元々車の通りが少ない。 気付くと俺は、信号が三度目の青を迎えるまで涙を流し続けていた。 (…そろそろ行こうか) そう思い、いつの間にか座っていた身体を起こし歩き出した。 この場所から俺の家まで15分程度で着く。 家のでかさは大きくも小さくも無い普通の一戸建てだ。 家に帰宅するとまず風呂場へと向かう。 憂鬱な気分を紛らわしたいからだ。 戸を開けるとすでに湯が張ってあった。 母親がいつもより早く帰る俺の為に用意したのだろう。 心の中で母に感謝する。 「最近感謝することが多くなったなぁ。それだけ、気を使わせているんだろうけど……」 湯舟に浸かりふと独り言を呟き目を閉じ力をぬく。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加