1.発生

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俺は・・・どうやら 記憶喪失のようだ。 見慣れない病院、見慣れない町・・・ 自分のモノであろう体でさえ 自分のモノだという実感が無かった。 ・・・それなのに、それなのに 何故だろう。 考えれば考えるほど、 今の景色が憎くなった。 それこそ、さっきまでの心地の良さは どこへ消えたのだろうか? ・・・今は、気分がとても悪かった。 ベッドから起き上がり、 カーテンを捲る・・・ 同じようなベッドが6つ並んでおり、 此処は集団入院用の大部屋の 一番隅の個室だ。 病院内に明かりは無く、 窓から射し込む街灯の明かりだけが 頼りだった。 カーテンで覆われた個室の前を通り過ぎ、 廊下へ出たが、 病室から廊下へと続く 横開き式の扉の先には、 深淵が広がっていた。 全てを飲み込んでしまうような深い闇には、 明かりも意味が無かった。 ・・・となると、 脱出口は窓しか無いようだ・・・
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