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俺は・・・どうやら
記憶喪失のようだ。
見慣れない病院、見慣れない町・・・
自分のモノであろう体でさえ
自分のモノだという実感が無かった。
・・・それなのに、それなのに
何故だろう。
考えれば考えるほど、
今の景色が憎くなった。
それこそ、さっきまでの心地の良さは
どこへ消えたのだろうか?
・・・今は、気分がとても悪かった。
ベッドから起き上がり、
カーテンを捲る・・・
同じようなベッドが6つ並んでおり、
此処は集団入院用の大部屋の
一番隅の個室だ。
病院内に明かりは無く、
窓から射し込む街灯の明かりだけが
頼りだった。
カーテンで覆われた個室の前を通り過ぎ、
廊下へ出たが、
病室から廊下へと続く
横開き式の扉の先には、
深淵が広がっていた。
全てを飲み込んでしまうような深い闇には、
明かりも意味が無かった。
・・・となると、
脱出口は窓しか無いようだ・・・
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