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……気がつくと、知らない場所に倒れていた。
「痛っ…」
起き上がろうとしたが、まだ頭が痛くて動けない。
あれは、催眠ガスみたいなものだったのだろうか?
しばらくして、頭痛が治まってから、辺りを見回す。
教室くらいの広さの、白くて明るい部屋だ。
トイレと狭いシャワールームがあり、それぞれが壁で囲まれ、ドアがついている。
シャワールームの横には、しっかり脱衣所があり、洗面台や洗濯乾燥機まである。
大きな冷蔵庫が置いてあるが、中身は空だった。
他には、家庭にあるような流し台やゴミ箱など、人が生活できそうな設備がいろいろある。
部屋の真ん中には、円い大きなテーブルと、それを囲む5つの椅子がある。
その下の床には、大きく『5』と書かれている。
四角い部屋の、4つの壁の真ん中には、それぞれ扉がついていて、『2』、『4』、『6』、『8』と書かれている。
気になる物は他にもたくさんあるのだが、ひときわ目を引く物がテーブルの上にある。
……木製バットだ。
ちょっとこれは、この部屋には似つかわしくない。
「野球させたいならボールも置いとけよ」
一人むなしくツッコミをいれる。
グローブを要求しなかった分、謙虚だったと自負する。
バットの横には、カンパン1缶とペットボトルの水1本が入ったポーチがある。
ポーチの中には、小さな黒い機械も入っている。
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