プロローグ

2/9
前へ
/421ページ
次へ
「なあ、エーリ。あの太陽と俺、どっちのほうが輝いてる?」 「太陽だ」 高校1年の夏休み前の終業式の日。 いつもの男女5人で始発駅から電車に乗る。 田舎だから駅の近くに住んでいる人は少ないのだが、電車の本数も少ないので電車は込み合う。 朝の、特に混雑する時間帯に、いつも通り5人で並んで座る。 俺は家入 海人(えいり うみと)、3組の委員長。 みんなからは『エーリ』って呼ばれている。 現在、5人の真ん中に座ってます。 …えーっと、運がいいのが特長。 5人の端には、背中まである黒髪が特徴的な、1組の委員長、相川 明日奈(あいかわ あすな)が座っている。 とっても真面目なお嬢さんだ。 真面目だから、夏休み前にするべき質問をしてくる。 「ねえ、夏休みどうする?」 朝日の光が、黒髪でキレイに反射する。 その質問に、短髪メガネの、5組の委員長が元気に答える。 「海行こうぜ! 海!!」 声がでかいよ。一応そこ、俺の耳元だから。 「お前は水着の女性が見たいだけだろ」 「おいおいエーリ、水着の女の子見る以外に、海ですることなんてあるのかい?」 近くに立っている乗客が、一瞬こちらを見た。 「……確かに、無いな」
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加