4+1つの扉と影

16/19

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/421ページ
「まあ、書き置きした後に、他の部屋を見に行こう」 「了解だよエーリ!」 早速、荷物を持って、2の部屋に向かう。 扉を開け、レンガの部屋を左側の壁に沿って歩く。 2回目となると、この色の単調さには飽きがくる。 少し歩いたところで、急に縁が立ち止まり、こちらを向く。 「エーリってさあ、なんかいつもみんなの期待に応えてくれるよな」 「急になんだよ……。でもなあ、『期待通り』じゃダメなんだよ…。期待以上か期待ハズレじゃないと」 「『期待以上』はいいと思うけど、どうして『期待ハズレ』も?」 「いつも『期待以上』を意識して頑張ってるけどさ、頑張ってばかりだと、どんどん頼ってくる人が増えてくんだ。 そうしてるうちに、期待に応えることすらできなくなるんだよね。 期待に応えようとするばっかじゃダメだったんだよ。 だから、頼ってくる人を減らすための『期待ハズレ』なんだよ」 「エーリ……、お前、いろいろ考えてんだな…」 「まあ、そんな難しいことはいいんだよ、別に」 「他にも何か理由があるのか?」 「簡単だよ、縁。『期待通り』じゃ、つまんないだろ?」
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加