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「まあ、書き置きした後に、他の部屋を見に行こう」
「了解だよエーリ!」
早速、荷物を持って、2の部屋に向かう。
扉を開け、レンガの部屋を左側の壁に沿って歩く。
2回目となると、この色の単調さには飽きがくる。
少し歩いたところで、急に縁が立ち止まり、こちらを向く。
「エーリってさあ、なんかいつもみんなの期待に応えてくれるよな」
「急になんだよ……。でもなあ、『期待通り』じゃダメなんだよ…。期待以上か期待ハズレじゃないと」
「『期待以上』はいいと思うけど、どうして『期待ハズレ』も?」
「いつも『期待以上』を意識して頑張ってるけどさ、頑張ってばかりだと、どんどん頼ってくる人が増えてくんだ。
そうしてるうちに、期待に応えることすらできなくなるんだよね。
期待に応えようとするばっかじゃダメだったんだよ。
だから、頼ってくる人を減らすための『期待ハズレ』なんだよ」
「エーリ……、お前、いろいろ考えてんだな…」
「まあ、そんな難しいことはいいんだよ、別に」
「他にも何か理由があるのか?」
「簡単だよ、縁。『期待通り』じゃ、つまんないだろ?」
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