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「ああ、そうだな…!」
縁はどこか嬉しそうだった。
「珍しいな、縁がこんな真面目な話をするなんて」
「ん? エーリ。もしかしてそれ、どことなくバカにしてる?」
「いやもう、どことなくとかそういうレベルじゃないくらいバカにして………ん?」
その時、視界の隅で何かが動いた気がした。
「…どうしたんだ、エーリ?」
「何か……、居た気がした」
「もしかしたら『影』かも知れないな。立ち止まってる場合じゃなかった。行こう」
二人とも早足で歩きだす。
見たこともない敵から遠ざかるために。
やっと角を曲がった。
あとは直進するだけだった。
………が、2人の通ろうとしたルートに、黒い人影が待ち構えていた。
『人型の黒いやつ』だ。
どこから見ても陰になっていて、光が当たっているはずの場所にも陰しかない。
空間が人型にくり抜かれ、そこだけ光が通っていない感じだ。
あれは『影』と言う他ないだろう。
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