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授業の登録期間と調整期間が終わり、4月半ばには本格的に授業が始まった。
授業開始前の教室で、俺は自分の時間割りを眺めた。
生まれて初めて買ったシステム手帳のメモ欄に作った時間割りには、小さく赤い点が書いてある。
どの曜日にも2つ以上ついているその点は、佐伯香織と同じ授業だという目印だった。
俺は何度も赤い点を数え、自分でも気付かないくらい微かに微笑んだ。
「昨日のラーメン、美味しかったよね。」
教室の入口から佐伯香織の友達の声が聞こえた。
俺はゆっくりと入口に視線を移した。
「また、行きたいよね。」
俺は自分の心臓が早くなって行くのを感じた。
佐伯香織の声だった。
笑顔で友達と話す佐伯香織を一目見ると、またシステム手帳に視線を落とした。
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