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友達と話しながらゆっくり歩く佐伯香織の後ろにいつまでもいることは出来ず、俺は足早に佐伯香織を追い越した。
すれ違う瞬間に、佐伯香織から良い香りがする。
香水なのかシャンプーなのかわからないその香りを忘れないように、俺はゆっくりと瞬きをした。
今日の授業は終わりなので、俺は駅に向かった。
駅前のドラッグストアの向かいのラーメン屋を横目で確認し、改札を抜けた。
家に帰ると、いつものようにパソコンの電源をいれた。
やはり佐伯香織らしいブログは見つからなかった。
楽しそうな他人の日常を読んでいく。
俺とは無縁な日常に不思議と羨ましいというような感情は湧いてはこない。
俺はパソコンを閉じ、今度は携帯電話で検索をする。
やはり、佐伯香織は見つからなかった。
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