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何か言うべきだと思ったが佐伯香織の笑顔の前に俺は何も言えず、頷いたのか俯いたのかわからないような動きで視線を佐伯香織の携帯電話に移した。
そのまま佐伯香織は友達の席に向かって行ってしまった。
俺は、出来るだけ自然に見えるように席に座り直した。
俺に向けられた佐伯香織の笑顔と、佐伯香織の携帯電話の画面を忘れないようにゆっくりと瞬きをした。
佐伯香織の携帯電話の画面には、見覚えのあるサイトが表示されていた。
高校生の頃、よくやっていたゲームサイトのものだった。
『サエル』というハンドルネームのマイページが表示されていた。
可愛らしいアバターも忘れないように瞼に焼き付けるように、何度もゆっくりと瞬きをした。
早く携帯電話を触りたくて、今までで1番長い90分を過ごした。
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