プロローグ

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何も変わらないいつもの朝だった。 授業開始15分前に大学の門を通り、授業開始5分前に教室に着いた。 誰かと朝の挨拶をすることもなく、1番前の席に座る。 後は授業ぎりぎりに駆け込んで来る佐伯香織を一目見るために、入口を何度も確認する。 ただ今日は佐伯香織が教室に来る事はなかった。 いつも佐伯香織と一緒にいる女友達も、教室に来る事はなかった。 今日のこの授業の教授は、出席に厳しい事で有名だ。 佐伯香織が欠席なんて考えられず、俺は嫌な予感がした。 結局、佐伯香織が来ないまま授業は始まった。 時計と入口を何度も確認しながら、ノートをとった。 結局、佐伯香織は教室に現れなかった。 2限目も佐伯香織は授業に出席しなかった。 俺は昼休みに学食で佐伯香織を探すことにした。 いつも佐伯香織が座っている席に、いつものように佐伯香織の友達が座っていた。 しかし佐伯香織の姿はなく、佐伯香織の友達は泣いていた。 俺は意を決し、会話が聞こえるほど近い席に座った。 学食で1人で座っているなんて俺くらいで、居心地の悪さと慣れない苦痛に堪えながら聞き耳をたてた。
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