49人が本棚に入れています
本棚に追加
大学の春休みは2ヶ月以上もあり長い。
人付き合いが苦手な俺はバイトをするなんて考えられず、完全な引きこもりのようになった。
1日中ごろごろしながら、あの女の子の事を考えた。
名前も知らない女の子の事を考えても知っているのは顔と声くらいで、すぐに不甲斐のない自分にため息をつく。
それでも何とかしようという前向きな気持ちや、何とかなるかもしれないという淡い期待は湧いて来なかった。
自分の事は自分が1番わかっている。
小学校の頃は友達がいた気がする。
学校帰りに遊ぶ約束をして、公園なんかで遊んでいた気がする。
中学に入った頃から、いつの間にか真っ直ぐ家に帰り誰とも遊ばなくなった。
そして、誰とも話もしなくなった。
大親友が転校したとか、いじめられていたとか登校拒否だったとか、そんな理由は1つもない。
同じクラスにはいじめられて登校拒否になった同級生がいたが、俺は誰とも交わらないまま皆勤賞だった。
中学3年間で気がついた事は、それが自分の居場所だという事だ。
高校でも大学でも、俺は何かを変えようとは思わなかった。
最初のコメントを投稿しよう!