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完全に部屋に引きこもり時間の流れを止める勇気もなく、自分を変える度胸もなかった。
どこにいても俺は1人で俺を認識している人はいない。
そして、俺が認識している人もいないはずだった。
でも、俺はあの女の子を認識してしまった。
あの女の子はもう俺を認識していないだろうが、そんな事は関係なかった。
俺は春休みの間、毎日あの女の子の事を考えた。
話がしたいとか、ましてや友達になりたいなんて思っていない。
ただ、あの女の子を見ていたいと思った。
学校が始まる事が、待ち遠しかった。
なんの変化もなく2ヶ月が過ぎていった。
ただいつもより時間の流れを遅く感じ、人の体感なんて単純だと思った。
待ちに待った4月のガイダンスの日が来た。
共通の試験科目をみるかぎり学科が同じ事は間違いなく、俺は少しだけいつもより早く教室に向かった。
教室に入ると、俺は入口で教室全体を見回した。
そんな事をしたのは初めてで、あの女の子がまだ来ていないと確認すると、慌てていつものように1番前の席に座った。
落ち着かない俺は何度も入口を確認し、そんな自分をごまかすようにガイダンスの資料を読む振りをした。
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