セビリアの死闘

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『聖マルコ号』の航海は、船長ジャコモの予想通り危険なものとなった。  聖騎士団はバレンシアの屈辱を晴らすため、しつこく追いかけてきた。  そこまではジャコモのみならず、若いジョアンにも予想できた。  想定外だったのは、ポルトガルからやってきた海軍の攻撃が熾烈を極めた事だった。 「異端者共を皆殺しにしろ!」  ポルトガルは海洋国だから、砲台の射程圏も広い。何より風に影響されにくいガレー船を使ってくるから、厄介な敵だった。  一方『聖マルコ号』と他の船はキャラベル船で、小回りは効くが船の大きさと砲台の数では不利だった。  わかりやすく説明すると、ワゴン車と大型トラックが戦っているようなものだ。
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