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ジョアンは神の存在と教会を最も嫌っている。
なぜか。
彼は神に見初められた貴族の娘と、彼女を襲った神の血を受け継いでいるからだ。
もちろん、神と人間の間に子供が産まれた例は“歴史書”にはないから、ジョアンは貴族の私生児として、教会に隠されながら育てられた。
彼が殺されなかった最大の理由は、神の血を引いている事に他ならない。
しかし「生まれてはならなかった存在」と呼ばれ、実の両親の顔も知らず、教会で自然に餓死するように育てられたら、嫌でも神を恨むだろう。
やがてジョアンは教会から脱走し、町の不良仲間達と手を組んで、ありとあらゆる悪事に手を染めた。
貴族やブルジョワ(金持ちの商人)達は実にいいカモになった。金がないと泣きながら、海軍の小さな軍艦を譲ってくれた退役軍人がいて、そいつの船を元手にジョアンは海賊を始めた。
そして、聖職者とそれに媚びへつらう王侯貴族達へ復讐するため、彼らに仕える商人達を襲った。
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