セビリアの死闘

3/14
前へ
/443ページ
次へ
 いくらジャンが砲撃の天才とはいえ、ひとりで全ての砲台を扱うには無理が有りすぎた。  距離を測れるパウロや狙撃の天才ヨシュアも手伝うが、正直応戦するには相手の規模が大きすぎた。  何とか白兵戦に持ち込もうにも、敵の砲撃をかわすだけで精一杯。  剣術の天才ユーリは歯噛みしながら悔しがった。 「畜生! ポルトガルの野郎共、船に近付いたら簡単にスライスしてやるのに!」 「コンナ時ハ、冷静ニ自分ニデキル事ヲ考エテクダサイ。」  イーブン先生が、ユーリに伝令に徹するよう促した。  ジャコモ船長は指示を次々と飛ばす。  その傍らでジョアンは持ち前のセンスで船の梶を取り、必死の形相で砲撃から船を守っていた。  最年少のトマは、恐怖に負けそうになる自分を自分で励ましながら、必死で活路を探し続けた。
/443ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90人が本棚に入れています
本棚に追加