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そんなふたりが教皇庁からジョアンの抹殺を依頼された時、ジョアンは怯えるどころか笑顔で迎えてくれたのだ。
「こんなに綺麗な剣の舞いを見ながら死ぬのも悪くない。」と。
そして幼いトマにも「君みたいな小さな子が手を血で染める必要はない。」とジョアンは言ってくれたのだ。
ふたりは暗殺組織では、男色(男同士の恋愛)だとからかわれ続けていたのに、ジョアンだけは違った。
いつでもふたりの悩みに真剣に耳を傾け、彼らをからかう奴には容赦なく鉄拳を振るった。
「コイツらは本当の家族なんだ! バカにする奴は俺が許さない!」
だからユーリもトマも、ジョアンを心底慕っていた。ジャコモ船長がふたりの関係に眉をしかめた時にも、ジョアンはちゃんと説得してくれた。
それでも、トマが一番安心できるのは、やっぱりユーリの腕の中だ。
「ありがとう……。ユーリ。僕はもう、大丈夫だよ。」
ところが次の瞬間!
ポルトガルの凶弾が、ユーリの背中を撃ち抜いた!
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