嫁ぐ日

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美濃の家臣たちが去った今、帰蝶の味方は附老女の各務野と侍女が数名。 それに、帰蝶付きの家臣、福富貞家だけである。 あとは全て頼るべく人たちではない。 (ああっ! たまらなく心細い。 今になってこんなに不安で、怖いなんて…! 帰蝶、貴女はあの蝮と呼ばれる父道三にさえ、一目置かれた女子。 しっかりなされ! これからは戦! 信長などに負けるものですか!) 生来、気の強い帰蝶である 。 顔をまっすぐ上げ、道三が一番美しいと褒めた、笑みを浮かべた。
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