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「ほおっ!
なんと美しい姫じゃ!
三郎は果報者じゃな、のう奥」
満面の笑みの信秀とは異なり、母親の土田御前は涼しげに帰蝶を一瞥すると、
「三郎にはもったいのう存じまする。
信行のほうが余程つりあいましょうほどに…」
「これ!
姫が不思議に思うであろう。
姫よ、疲れていよう。
部屋でゆるりと休まれよ。
平手」
「はっ。
さあ、姫様、こちらへ…」
「では、お言葉に甘えさせていただきまする。
ご無礼いたしまする」
きちんと手をついて一礼し、平手政秀に導かれて、異様な広間を後にした。
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