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「キュー! キュキュキュ」
「あ? ああ、腹へったのか?」
「キュー!」
小熊のお腹を押さえるジェスチャーのおかげでなんとなくわかった。……この世界の熊は賢いんだな。
小熊はぬいぐるみくらいのサイズで、色は変わらず茶色。黒い目がきゅるるっとしていて凄く可愛い。なんか癒される――のが普段なのだが
「キュ?」
「そんな目で見ても俺はなんも持ってないぞ。俺も食べちゃダメだからな」
その純粋な目が怖い。正直膝gkbrだぜ。
はあ……腹へった、かも。
***
「キュゥゥ……」
「そうだな、もう死にそうだ……」
三十分ほど経った。もうダメだ、死にそう。いっそ俺が食ってやろうか。
「キュ!?」
「む、漏れてたか。冗談だ」
「キュキュキュー!!」
「本当だって、ほら、おいで」
三十分もいれば、なんとなく言葉も分かるようになった。チートっていうのは能力もそうだが、人生経験の差だと初めて知った。
トテトテ近寄ってきた小熊が超可愛い。ポフッと、木に寄りかかっていた俺に寄りかかる小熊。頭を触ると、モフッと柔らかい感触がした。……よし!
「決めた、お前はポムにする!」
ポフッとモフッとしてるからだ!!
「キュー?」
「これからはポムって呼ぶから。よろしくな、ポム」
「キュキュッ」
これ飼う。絶対飼う。最初こそ怖かったけど、信用できるなコイツ。なんか愛着湧くわー。
ムギュッとポムに抱きつくと、俺の服の端をキュッと掴んでくれる。あったか……。
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