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思いきりポムに叩かれて見た先には、牙の生えた巨大な兎。
うわあっ、可愛くない☆
「……ってアレやばいだろ!?」
見ちまったもんは無視できない!
「逃げろオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「キユウウウウウウウウ!」
ポムを脇に抱えて走る。俺をボッチにしないでくれた友を見殺しにするわけないだろ!!
「グガアアアッ」
「ぎやあああっ」
くっそ速え……!
後ろで木が薙ぎ倒されているのが分かる。チッ、俺はちょこまか避けなきゃいけねえのに、ずりい! うがああああっ、腹へったマジ死ぬ倒れる!
「キューウ」
頑張れったって……ああもう!
「《ファイアーアロー》!《ウォーターアロー》!《サンダーアロー》!《アイスアロー》!《ウィングアロー》!《ライトアロー》!《ダークアロー》!《スペースアロー》!《グラムアロー》!《メイクアロー》!《タイムアロー》!」
こういうときは取り敢えず"アロー"ってつけときゃいけるもんなんだよ!
ああ? 感嘆符多いだあ?! んなこと気にしてる余裕あったらポムと戯れてるわばーか! ばーか!←
そんなことを思っている内に、俺の周りから矢が出てきた。
属性も分かんないし適当に言ってみたが、赤は出るのか。俺の属性は火か――ん?
次々と矢が出てきた。赤、青、黄色、水色、黄緑色、白色、黒色、群青色、紫色、オレンジ色。
ん? 一色足りない。これは……創造か。さすがにレア属性はないか。
俺を取り囲む矢が円になる。色んな色に輝く矢に囲まれていて、正直俺だけパレードみたいでヤダ。
「グギアアア!」
俺に突進してくる化け物。俺は絶対、こんなのが兎だなんて絶対認めない。こんな可愛くない奴……
「抹殺じゃボケぇぇぇぇぇぃぃ!!」
矢がいっきに化け物に向かう。
双方勢いがあるので、いくら弱かったとしてもこれならいけると信じてる。
いけいけいけいけ殺せぇぇぇぇぇぇぇ!!
――が、しかし。
「え?」
化け物に当たる直前、シュンと音をたてて矢が消えた。その音と共に、俺の意識もシュンと、落ちるみたいに早く、ゆっくり失われていった。
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