小さな訪問者

7/13

627人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
少女は涙ぐみながら、在りし日のことを思い出し、懐郷の念はあるが、もう帰れないとそれを振り払い、自己紹介と思いついた疑問を老執事に投げかけた。 「私の名前はルイン、元貴族よ。ここはどこ?貴方の名前は?」 彼は少し考え、苦笑いしながら告げる。 「ここは魔王城。私は執事でルドーと申します」 彼女の表情が固まった。彼はやはりこうなりますかと思い、彼女が元に戻るまで冷たい紅茶の準備しながら待つ。 はっと、彼女が元に戻ると、彼女の前にテーブルを出し、コースターの上に氷の入ったグラスを置き、紅茶を注ぎ、 「どうぞ、喉が渇いてるでしょう?」 と言った。彼女は紅茶に手を着けず、難しい顔でうねる。魔族のイメージと合わない、何故私を助けたのか、考えても答えはでず、ならば直接と彼に質問した。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

627人が本棚に入れています
本棚に追加