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少女は涙ぐみながら、在りし日のことを思い出し、懐郷の念はあるが、もう帰れないとそれを振り払い、自己紹介と思いついた疑問を老執事に投げかけた。
「私の名前はルイン、元貴族よ。ここはどこ?貴方の名前は?」
彼は少し考え、苦笑いしながら告げる。
「ここは魔王城。私は執事でルドーと申します」
彼女の表情が固まった。彼はやはりこうなりますかと思い、彼女が元に戻るまで冷たい紅茶の準備しながら待つ。
はっと、彼女が元に戻ると、彼女の前にテーブルを出し、コースターの上に氷の入ったグラスを置き、紅茶を注ぎ、
「どうぞ、喉が渇いてるでしょう?」
と言った。彼女は紅茶に手を着けず、難しい顔でうねる。魔族のイメージと合わない、何故私を助けたのか、考えても答えはでず、ならば直接と彼に質問した。
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