小さな訪問者

11/13

627人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
ルインは一瞬目を見開き、シヨンを見る。 「貴女がルインちゃんですね、ルドーさんから話は聞いてますよ」 シヨンはルインに近寄り、彼女の髪を撫でながら微笑んだ。ルインは気まずげな表情をしていたが、すぐに表情が和らぎ、撫でられるままになっている。 「じゃあ、私達はこれで」 シヨンはルインと手を繋ぎ、足元に魔法陣を展開した。 「ええ、頼みますよ」 ルドーは微笑み、2人に向かって手を振り、それを見た2人が手を振り返す。ルインは"私は恵まれてるな"と思いながらシヨンと共に姿を消した。 ルドーは2人が転移するのを見届けると顔を無表情に変え、呟く。 「さて、そろそろ勇者が死んだ頃ですかね」 その声に感情はこもっておらず、聞く人によっては寒さを覚えるものだった。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

627人が本棚に入れています
本棚に追加