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勇者は唖然とし、立ち止まり声を荒げる。
「お前はいったい何なんだ!」
聖剣は、魔族に対して絶対的な効果があると聞いていた。だが、目の前の人物には効かない、勇者はそれが不思議でならなかった。
ルドーは無表情で何も喋らない。今度はこちらが攻勢だと言わんばかりに肉迫し、勇者の腹に掌打を食らわせた。
四つん這いになり、腹を押さえて苦しみ、治癒魔法を使う勇者。ルドーは勇者の回復を待つかのように、何もせず、冷めた目で見下ろしている。
勇者は力の差を感じていた、勇者はそれが悔しかった。だから勇者は力を望む。
(力か欲しい、何人たりとも届かぬ、絶対的な力が)
その時、不思議なことが起こった。勇者の体が輝き、立ち上がる、その体は力に満ち溢れ、オーラのようなものも見えている。ルドーは目を見開き、そして微笑んだ。
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