魔王城の執事

最強の勇者

どんどん型作られてゆく何か、容量のおかしい水たまり。現れたのは、バフォメットによく似た化け物だった。

頭部は山羊、額にはルドーの顔が埋まっている。全身は毛深く腕は一対、下半身は山羊と似ており、一対の足は逆関節だ。体は大きく筋骨隆々で、拳が人の身長ほどあり、背中には一対の黒い鳥の翼があった。

ルドーは狂ったように剣を振る勇者を見下ろし、デコピンで攻撃した。

(さて、勇者が正気に戻るまで嬲って遊びましょうかね)

そう思いながら、デコピンで吹き飛んだ勇者に近寄るルドー。その飛距離はルドーの蹴りと同じくらいだ。

ルドーは翼を羽ばたかせ、宙に浮きながら勇者に近付く。勇者は、力を得たせいで治癒力が上がっているのか、無傷で立ち上がる。

ルドーは間髪いれずに勇者に雷を放った。感電し倒れる勇者、しかし傷はすぐさま癒え、また立ち上がる。