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ルドーが剣を引き抜き、倒れた勇者の亡骸を消し、いつもの老執事の姿に変わると、細剣の手入れをしながら愚痴をこぼす。
「人の剣で新しい剣を作るなんて、かけられている魔法や魔法陣は大したことありませんし、帰還術式なんて訳の分からないものも、この剣は貴方方の所有物じゃありませんよ」
そう言いながら、手入れを終え、剣の名を呼ぶ。
「終わりましたよ。ムノプス」
剣は輝き、形を変える、光が治まると、そこには梟がいた。
「国のバカ共が、人の体を弄ったり、実験なんかしやがって。一部の道具はな、持ち主を選ぶんだよ阿呆が」
ルドーの肩に留まり、愚痴をこぼすムノプス。彼は怒気を孕んだ表情でルドーに聞く。
「なあ、あの国、滅ぼさねぇか?」
ルドーは微笑みながら言葉を返す。
「放って置きましょう、私達が手を下さなくても勝手に自滅しますよ」
そう言ったルドーの目は笑っていなかった。
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