小さな訪問者

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少女は自分の運命を呪いながら懸命に走っていた。 彼女は元々貴族であった。5つ頃、魔力測定で魔盲と判断され、父親が豹変、それから牢に閉じ込められ外に出ることは許されなかった。 幸い牢での自由度は高く。母親と弟、使用人達は彼女を邪険に扱うようなことはせず、今までと同じように愛情を注ぎ、様々なことを教えた。 いつか捨てられることや、体作りのことも、さらには覚えていて損はないと魔法のことまでも教えてくれた。 時々父親が見回りに来ることもあったが、所詮は財と権力があるだけで、能力は家族や使用人のほうが長けており、見つかることは無かった。 そしてついに捨てられる日、父親には秘密で母親からペンダントをもらい、父親から餞別とばかりに短剣を渡された。 彼女は知っていた。その短剣に能力など無く、ただ盗賊や山賊をおびき寄せるための餌であり、短剣なんぞ端金だと暗に言っているようなものだと。
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