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「ん~?なんでってそりゃあ…。驚か、せぇっ!?」
ガキン!!!
「喋ってねえっ!まだ最後まで喋ってなかったぞっ!?」
吉田は高杉の性格を嫌という程、知っていた。
当然「おどろ」まで聞こえれば、後は寝夜着の帯に軽く刺していた刀を抜くだけだった。
上背のある吉田は布団の上で胡座をかいている高杉に、躊躇なく刀を振り降ろす。
「刀、折れなくて良かったね?」
優勢な吉田はいつものどす黒い笑顔で、押し付ける力を緩めず余裕で微笑する。
「クッ…折れたら、俺の、脳天、真っ二つ、だあぁぁーっ!!」
反応出来た高杉も凄いが体勢は悪く、ギリギリと刃の擦れあう音が頭上で聞こえた。
『こりゃやべぇな…』
一気に力を込め吉田の刀を持ちあげた後、決死の覚悟で横へ飛び退く。
…だが。
「ぎゃぼっっ!?」
直後、強烈な蹴りがきた。
高杉は見事な飛びっぷりで、盛大な音を上げ壊れた襖と共に崩れ落ちる。
「……いい…回し蹴りだ…った…」
ちーーん。
「くだらない事言ってないで、簡潔に要件だけ言いなよ。」
吉田は刀を鞘に戻して布団に座り、高杉の酒を押し退けた。
そこへ鼻血を垂らした高杉が這い出し、
「そう、それそれ、じっ、実はなっ。」
鼻血を拭き拭き、ようやっと本題に入る事となった。
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