酔狂

5/14
前へ
/723ページ
次へ
「ご明察、良くわかったねぇ。弟くんから聞いたの?」 「ええ、滅多に来訪者のない田舎ですから。それに先生の喋り方は特徴あり過ぎですよ。」 先生は「そう」と言い、すくっと立ち上がり、 「あんまり渋り過ぎたら、キミの家族が危ないかもね?」 妖しい目つきで笑った。 同じく直ぐに立ち上がり目線を合わせる。 「…もし、家族に手を出したら…殺しますよ?先生の大事な仲間を順番に、ね。」 今度は先生の眉がピクリと動く。 「仲間を殺されるんだったら、先にキミを殺しておくかな。」 物騒なやり取りを楽しんだ先生は、歩き出し障子の前に立った。 どうやら、帰ってくれるようだ。 サッと動き障子を開けたら、先生が通り過ぎ先にスタスタと歩いて行く。 後ろを静々ついてってお見送りをしたら、先生の相手はおしまいだ。 見送りには丁寧に女将まで出て来た。 「先生ぇ。」 女将は毎度、しな垂れかかるのが定番になっている。 頑張って媚び売ってんなぁ~とか眺めてんのが常だけど、この日は…余計なモンを見てしまった。 キラーン! って…今なんか光りましたけど? まさか!今のは女将の涙!? ーーーって、違あぁうっ! あっ、あれは…金か銀だっ!! なんで?まさか先生のお見送りの時、寄り添ってたのは…金子の受け取りだったの!? 本来の払いとは別のこの過払いは、一体なんの為に? 、
/723ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4469人が本棚に入れています
本棚に追加