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見送った私に、女将が出て来て声をかける。
「あんた、あんなにええお客はんいてはらへんえ。あんたの事、大事にしたはるわぁ。」
…お客?
まぁ一応金払ってるからそうだろうけど…
『アイツの目的は別にありますぜ?』
と言えるものなら、本当の事を言ってやりたい。
ん?金と言えば…
「女将さん!さっき受け取ってた金子は何ですか!?」
別料金で払ってた金が一体なんなのか、気にならない訳がない。
「えっ。…なんや、見えてたんかいな…やらしぃなぁ~。」
やらしいのはあんたのがめついとこだよ!
と、またまた本音を言ってやりたくなった。
でも女将は、やたらとニヤニヤ笑って私を見る。
「…なんですか、気持ち悪いな…」
「気持ち悪いとか言うたらもう、教えてあげまへんえ?」
「イヤイヤ、ものすんごい綺麗ですぜ、女将様。」
言った後から『女将様』って変じゃね?とか自分に突っ込み入れながら、グイッと親指を立てて見せる。
するとニコニコ顔の女将様が、
「これはなぁ~、あんたが枕仕事せんでええように言うて、来るたんびに渡していかはるんや。」
袖の袂から一両を取り出して見せた。
「…え?毎回?毎回って…私は二、三日に一回出てるだけなのに?あの人、ここ何ヶ月ずっと来てるよ?」
ーーびっくり。
あの先生、どんだけ金持ってんの?
んで、何で…そんなしょーもない事に大枚はたいてんの?
道理で女将の対応が、他の客以上にいい訳だ。
「まぁ、あんたはホンマもんの芸妓やあらへんし、枕やらせるつもりは毛頭あらしまへんけど…。先生なぁ、たまにあんたが忙しいて空きがあらへん時に来はっても、この分だけは置いていかはるん。そん時はいらん言うんやけど…」
…先生…何しちゃってくれてんですか?
そこまでされる理由ないし、何か後が怖いよっ!
てゆーかさ、そんな金あるなら…私に直接おくれよ…
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