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自分を事件の初期段階で見限り、警視長の立場さえ奪おうとする本部に、ささやかな抵抗なのだろう。
伊藤自身、人を操り殺害するなど信じがたい。
対策室の捜査にも、まだまだ疑問を感じているのも事実。
それでも、九回裏サヨナラ逆転満塁ホームラン程度に、期待してきた対策室が本筋に見えてきた。
本当に、逆転できるかもしれない。
対策室が首謀者に辿り着き事件解決となれば、失墜した立場を取り戻すどころか、正に逆転し警視庁内の立場を確立できる。
出世も、あり得る。
ゆくゆくは、警視庁のトップの座さえ見えてくるだろう。
伊藤の中で、いやらしい計算が組み上がっていく。
「だったら、ここにいる場合じゃないな」
伊藤は、捜査本部を後にし対策室へと向かった。
大いなる野望を胸に。
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