♯23 祭りのあとに

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   国民は、その実績から新党に投票する。  官僚主導の政治。  そのイメージの悪さから、新党への投票をためらう人もいそうであったが、それを払拭する公約を新党の党首が打ち出した事が効果的だった。 「すべての金の流れをクリアにし、国民のみなさまに公開します。これまでのような、事には私がさせません」  そうしたスピーチが、国民の心に響いたのだった。  新党の党首、それは徳居 延彦。  内閣官房長官を務め、例の事件で公開された資料の中にあって、唯一といっていい贈収賄の事実が無かった人物。  その辺りも、国民が指示した理由だろう。  実際には、完全に何も無かった訳では無いのだが。  これにより、国民が路頭に迷う事は回避された。 「これで、良かったんだよね……」  歌津美は、報道番組を見ながら呟いた。  徳居の言葉を信じるならば、税収のカラクリにより政治家の懐に入っていた金は、国の予算として使われる事になるだろう。  それにより、国が抱える問題の多くは解消される筈。
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