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【 1 】
事件から、一年が過ぎた。
徳居内閣は、公約通り税収のカラクリによって政治家に流れていた金を使い、税率は変えずに諸問題の解決に邁進している。
問題が解消されれば、税率も下がってくるだろう。
国民も、それを信じているフシがある。
それ故、徳居総理の支持率は高く、前総理である愛原が受けていた最高支持率よりも高かった。
戦後、最高の総理の呼び声も高い。
そうなると気になるのは、一年前に逮捕された政治家たちだが、こちらは人それぞれである。
まず、逮捕者全員が未だ裁判中である。
そもそも、罪状が多過ぎる。
税収のカラクリによる不正所得に始まり、企業や暴力団との癒着など、指折り数えようにも十本の指では足りない程。
当然、裁判は長期化する。
多岐川 沙菜のところから押収した証拠がありながら、裁判が長期化するあたりは、政治家たちの悪あがきとも言えよう。
それを見ると、一年前の公約の信憑性は限りなく低い。
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