♯12 暗躍

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   鈴木 裕之。  十一月十一日のエックスデー前後から、その存在を忘れ去られたかのように、我妻班ごと捜査の本筋から追いやられた。  だが彼は、唯一身元が判明している首謀者側の人間と見られ、最重要参考人に間違いは無い。  手がかりが無い以上、捜査の本筋に戻されて当然である。  そこに、報告が入る。 「では、あの捜査員は陸道教やその他の宗教団体、テロ集団とも関係は無いのだな?」 「はい。警察官採用後に、そうした団体に参加した様子もありません」 「間違いないな?」 「彼の親族や関係者、周辺の人間にも確認しましたが、そうした事実は無いとの事でした」  それは陸道を殺害した捜査員の話しで、これを捜査するのは当然である。  だが警察組織としては、ここから捜査の糸口を見いだすというより、警察の面子を保つ為に捜査員の潔白を、証明したかったのだろう。  捜査員は、操られて陸道を殺害した。  結局のところ警察組織としても、その事実を信じきれないと言おうか、理解しきれていないのだ。  それは、当然の事。
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