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鈴木 裕之。
十一月十一日のエックスデー前後から、その存在を忘れ去られたかのように、我妻班ごと捜査の本筋から追いやられた。
だが彼は、唯一身元が判明している首謀者側の人間と見られ、最重要参考人に間違いは無い。
手がかりが無い以上、捜査の本筋に戻されて当然である。
そこに、報告が入る。
「では、あの捜査員は陸道教やその他の宗教団体、テロ集団とも関係は無いのだな?」
「はい。警察官採用後に、そうした団体に参加した様子もありません」
「間違いないな?」
「彼の親族や関係者、周辺の人間にも確認しましたが、そうした事実は無いとの事でした」
それは陸道を殺害した捜査員の話しで、これを捜査するのは当然である。
だが警察組織としては、ここから捜査の糸口を見いだすというより、警察の面子を保つ為に捜査員の潔白を、証明したかったのだろう。
捜査員は、操られて陸道を殺害した。
結局のところ警察組織としても、その事実を信じきれないと言おうか、理解しきれていないのだ。
それは、当然の事。
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