775人が本棚に入れています
本棚に追加
洗脳による殺人を、いかに立件するのか。
陸道教事件の時であっても、初期の薬物による無差別大量事件は、その辺りがうやむやになっている。
それも、警察の体質である。
そして、新しい捜査班が本部内に設立されていた。
それは、過去に陸道教と敵対していた宗教団体や、その他の集団が無かったかを調べる班だ。
陸道が殺害された事で、そうした発想が生まれたのであろう。
だが、そちらでも成果は出ていない。
「こんなんでは、いつまでも首謀者側に振り回されるだけだろ」
そう呟いた男がいた。
捜査本部の出入り口近くの壁に寄りかかり、本部内の様子を眺めている伊藤警視長だ。
彼と、彼の指揮する連続殺人事件特別対策室は、未だに捜査本部のカヤの外だった。
元々、マスコミ対策の為の部署。
だが、正式な捜査本部が設立してから、マスコミもそうだが警察内部でも忘れられつつあった。
その存続も、温情によるものだった。
だが、捜査は継続している。
その報告も、本部にあげてはいる。
最初のコメントを投稿しよう!