岐路

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その声が電話越しに聞こえたのだろう。 ヒロが話し始めた。 「千帆さん・・・・・。 もうこれで終わりにする つもり、なんですか?」 ストレートに聞いてくるヒロ。 いつも絶妙なタイミングで電話やメールをくれて 欲しい時に欲しい言葉をかけてくれた人。 やっぱり最後まで勘は鋭いままなんだ・・ね。 「ごめん・・・。もう会わない方がいいと思う」 私の意図と関係なく なぜか低い声しか出てこない。 「嫌です!!この間の事はすいませんでした。 千帆さんが何か落ち込んでるって気づいていたのに 俺、自分の気持ちを押し付けるような事してしまって・・・ でも、本当にずっと・・・」 「あの夜で私はヒロを好きにはならないって分かったから。 友達としても、もう無理だと思う。 ・・・お互い自分の居るべき場所で頑張ろ?」 ヒロの言葉をあえて遮って、 言葉を重ね 返事を聞かずに電話を切った。 これ以上話していたら泣いてしまいそうで・・・。 そしたらヒロに期待させてしまうかもしれない・・・そう思った。 好きだったわけじゃない。 だけど 支えてもらう事も多く 一緒にいて暖かい気持ちになれる 大切な友達だった。 なのに・・・一度の浅はかな行為が2人のあいだに立ちはだかり もう2度と以前のような2人には戻れない。
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