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バシッ。
僕の手は無残にも払いのけられた。
普通じゃない怖がりようだ。
いや、もはや怯えていると言った方が近いかもしれない。
ともかく今はメガネを渡した方が良さそうだ。
「メガネ、メガネ…。」
(あった、これだな。)
「あちゃー、軽くレンズ傷ついちゃってるよ・・・」
そう言って僕は彼女のメガネを覗き込んだのだが、
あれ…?
このメガネ、度が入ってないぞ?
なんで…
気になり彼女の方を振り向くが、変わらず震える彼女が心配だったので、すかさずメガネを手渡した。
「はい、メガネ。大丈夫?僕のこと分かる?」
気付いていないのだろうか、まだガタガタと震えている。
僕はたまらず、
「舞っ!大丈夫だから…!大丈夫だから…!」
と繰り返しながら彼女をぎゅーっと抱きしめた。
初めは抵抗していた彼女も、だんだんと落ち着きを取り戻してきたようで、僕の服をぎゅっと弱々しく掴み返してきた。
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