彼女の切なる過去…

3/12
前へ
/26ページ
次へ
バシッ。 僕の手は無残にも払いのけられた。 普通じゃない怖がりようだ。 いや、もはや怯えていると言った方が近いかもしれない。 ともかく今はメガネを渡した方が良さそうだ。 「メガネ、メガネ…。」 (あった、これだな。) 「あちゃー、軽くレンズ傷ついちゃってるよ・・・」 そう言って僕は彼女のメガネを覗き込んだのだが、 あれ…? このメガネ、度が入ってないぞ? なんで… 気になり彼女の方を振り向くが、変わらず震える彼女が心配だったので、すかさずメガネを手渡した。 「はい、メガネ。大丈夫?僕のこと分かる?」 気付いていないのだろうか、まだガタガタと震えている。 僕はたまらず、 「舞っ!大丈夫だから…!大丈夫だから…!」 と繰り返しながら彼女をぎゅーっと抱きしめた。 初めは抵抗していた彼女も、だんだんと落ち着きを取り戻してきたようで、僕の服をぎゅっと弱々しく掴み返してきた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加