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初めは何がなんだか分からなかった。
気が付くと私は１人の男によって、何かの薬品をかがされ、
もう１人の男によって車へと担ぎこまれた。
３人組だった。
車が走り出すと、私はそのまま意識を手放した。
もう一度気づくと、そこはどこかのホテルの一室らしき所だった。
そこには私をさらった３人の他に、もう１人よく見知った顔があった。
それは、仕事でお父さんとよく一緒にいた人だった。
だけどその顔は、私がいつもみている顔とはかけ離れ、ひどく歪んで見えた。
私は一気に怖くなった。
本当は思いっきり泣き叫んで助けを呼びたかった。
だけど、私はあまりの恐怖でもはや声が出なかった。
その時初めて私はとんでもない事をしてしまったんだって自覚したの。
男たちは私の目の前で、お金の話をしてた。
よくは聞こえなかったけど、身代金の話だと思う。
あー、私これからどうなるんだろう…ってただただ恐怖に打ちひしがれてた。
時々聞こえる罵声、そして怒鳴り声…
目の前に広がるのは、男たちの醜い笑い声と絶望だけだった。
私は別世界にいるんだって思い込もうとして、それからはずっと目をぎゅっと閉じてた。
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