彼女の切なる過去…

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でも、しばらくして大量のサイレンの音が聞こえ始めた。 最初は何の音か分からなかったけど、近づくにつれそれがパトカーの音だと分かった。 その音はどんどんコッチに近づいてくる。 男たちは途端に慌てだした。 なんでここが分かったんだ!ってパニックになってた。 私は助かったんだ…。って急に身体の力が抜ける気がした。 だけど、事はそう簡単には収まらなかった。 誘拐犯の1人が、私を片手で抱え込み、そのまま外へと連れ出す。 外にはパトカー数十台と、お父さん・お母さんの姿があった。 お父さん…!お母さん…! 声を出したいけど、声がでない。 「もうお前たちは包囲されている!大人しく人質を解放しろ!」 警官の1人が叫び、それを合図に次々と警察官が銃をかまえる。 「そんな事していいのかな~♪こっちにはコレがあるんだけど…!」 そう言って男のうちの1人が拳銃を取り出し、私に向けた。 カチャ――。 背筋がゾクリとした。 そこから先は本当に生きた心地がしなかった。
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