プロローグ

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今思えば、彼女との出会いは必然だったのかもしれない。 出会ったばかりだった僕等に時間なんて必要なかった。 それほどまでに僕等はお互いの存在を求め合い、その恋に溺れていったね―――。 もともと転勤族だった僕の両親、主に母親が、 "もう都会は懲り懲り!"と無理やり郊外に引っ越そうとしたのが事の発端だった。 引っ越し先は新潟県の某市。 なぜ新潟だったのか? その頃の僕には分からなかったが、後から父に聞いた話によると両親の思い出の場所らしい。 そして、どうやら遅かれ早かれ新潟支局のポストを与えられるはずだった僕の母の身勝手な発言は、意外にもあっさりOKされ、 決めた一週間後には、もう荷造りを終え引っ越し業者に来てもらう手筈が整っていた。 僕が言うのもあれだが、母さんの行動力といったら凄まじいものがある。 普段は威厳溢れる父さんでさえ母さんには形無しだ。 要するに尻に敷かれている。 だが僕はそんな両親を嫌いじゃなかった。
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