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僕は転入早々、授業が終わるとたくさんの人に囲まれていた。
あれほど、転校生=珍しい者の扱いが嫌だったから挨拶もそっけなくこなし、人を近づけないオーラを放っていたのになぜこうなってしまったのだろうか。
理由はこの人。
東宮舞の存在である。
顔はそこまで自分好みではないが、なんと言ってもスラッとスカートから伸びる足とメガネ萌のギャップには正直グラッときた。
小学生でこのプロポーションは反則だろう。
だがそんな事は問題ではない。
問題はなぜコイツが毎時間のように僕に話かけてくるのかということだ。
どんなに物静かなキャラを演じようとしても、転校生という存在には探索欲を沸き立てられるものだ。
百歩譲ってそれはしょうがないだろう。
だけどコイツが僕にちょっかいをかけてくる所為で外野は何倍にも膨れ上がっていた。
「ねぇ足立君って前の学校ではなんて呼ばれていたの?」
そんな笑顔を向けられたら免疫のない男は骨抜きだろう。
その証拠に男共は、僕達の周りに集まって来てはいても、ある程度の距離を忠実に保っている。
そしてなんと言っても、この女子の群れ。
僕はクールな優等生キャラであると、誰が言いふらしたのか他のクラスの女子までいる始末。
これじゃあ何のために、演技をしたのか分からないじゃないか。
だがどんなに、チヤホヤされようと僕の決意はそう易々とは変わらない。
この学校では仲間は作らない。
より一層心に大きな鍵をかけ、
僕の転校初日は幕を閉じた。
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