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だがそんな事を本人に言えるはずのない、優等生キャラの足立くんは、
「そうだったんだ、そのくらいお安い御用だよ。」
と澄ました顔で言う。
でもさすがにちょっとイラっとしたので、
「でも、そんな事くらい教室で言ってくれれば良かったのに。僕はてっきり、もっと重大な相談事が何かだと思ったよ。」
と言ってやった。
すると、東宮舞はいきなり顔を真っ赤にして、
「み、みんなには知られたくなかったの。だって私が一番に呼びたかったんだもん!」
僕の嫌味なんか全く気にも留めずに彼女は続ける。
「あ、足立君だって悪いんだよ。足立君がカッコイイってみんな言ってるし、目立たないようにしてるのかもしれないけど、充分目立ってるし…。あー、もう言いたい事、支離滅裂。」
「クスクスっ…ぷっ。あはははははっ!」
「なんなの、それ。悪いの僕なの?しかも≪足立君≫に戻ってるし。」
「えっ、あっ、ほんとだ。てかごめんね。しゅ、俊輔くんは悪くない。うん。照れるね名前呼び。俊輔くん‥俊輔くん。」
それから彼女は何度も僕の名前を繰り返し呼んでいる。
なんか一気に気が抜けてしまった。
お節介だと思ってた女の子が、それが実は魔性の女で、なのに天然?
支離滅裂のはこっちの方だ。
だけど同時に僕は感じていた。
【こんなに笑ったのいつぶりだろ…】
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