four o'clock

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灰色の雲が天を塞ぎ、蒼さのない空が広がっている。 そのせいなのかもしれないけれど、肌を撫でる風が少し冷たいのはきっと、秋が近いからじゃないだろうか。 同じ高さでカタチのよく似た住宅がずらずらと連なる住宅街。 どこからか子供のきゃっきゃっと楽しそうな声がする。 そんな、ありふれた住宅街の中に、私の家と、それから、3人の幼馴染の家がある。 授業を終えた私と幼馴染たちは、帰路を歩いていた。もう住宅街に突入はしたけど、私たちの家はまだ少し先だ。 「あー眠たい」 思わずくわと欠伸をする。寒くても眠気は襲ってくるものだから、全く、困ったものだ。 「どんだけ寝たら気が済むんだよ。授業中熟睡してたくせに」 呆れたように蒼は言う。どうやら学校で寝てたのがバレてるらしい。蒼、私とクラス違うのに。 「なんで知ってるの?きも」 「滝井から聞いただけだっつうの!」 きもいって言ったくらいでそんなに怒らなくてもいいじゃない。 というか、滝井ってだれだっけ?聞き覚えのない名前に、ううんと顔をしかめる。 滝井ー?だれ、滝井って。タキイ?タッキー?……タッキー……。 ああ、そういえばそんなあだ名のクラスメイトがいた気がする。
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