この物語の序章

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 そろそろ緊張もほぐれてきたので、無駄な思考を捨て次の行動に移す為に一つ一つプランを組み立てて行く。  うん...よし...こんなものでいいだろう......。  そろそろ頃合いだな、心の中で呟く。そう思うと不意に口に出してしまうものだ。 「作戦開始だ...」  俺の声は静かな夜の街に這うように響いていった。 ---------------------------------- -------------------- ----------  ...あの頃の俺はあんな風に緊張していたが、心のどこかでは“また今回も成功するだろう“と内心思っていたりもした。  自信だってあった。俺の作戦だって完璧ではないが成功する確率が決して低くはないことは確かだった。  けど改めて思い知った。いや、気付くのが遅すぎた。  昔から俺は失敗ばかりしてた。その運の無さは何年たっても変わらない。半年前にも味わったばかりにも関わらず忘れていた俺が阿呆だった。  しかし今更嘆いたってもう遅い。既に“あの時“から時の歯車は動きだしているのだから......。  これは、勇者がいなくなったその後の一人の青年の物語である。
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