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覚悟を決めた俺はまだ残っていた最後の一欠片のパンを口の中に放り投げる。
あぁ、最後.............。
口に入れた瞬間、謎の消失感が俺に襲いかかる。何故だが解らないが気分が下がってしまう。
でもやるしかないかと思いながら、俺はすかさず行動に移す為に身体を物陰から飛び出す。
ふと、自分の背後から冷たい風が突き抜けてきた。まるで自分を応援しているような...そんな気がした。身体に力が戻ってきているのがわかる。
ありがとう、名も知らない風よ、お陰であの門番を倒す勇気がでた気がするよ。
心の中で風に感謝する謎の行為をしつつ、前に一歩ずつゆっくりと踏み出してゆく。
ついさっきまでみたいにこそこそと隠れて移動している訳ではない。堂々と、散歩するような足取りで道のど真ん中を歩く。
しかしこのままだと門番に見つかってしまう。何故ならこんな真夜中に黒いフードを被ったいかにも怪しい人間が、大の貴族様の家の前でも通ってみろ。絶対職務質問されるに決まっている。
でも俺にはここを切り抜ける策があった。だからこんなにも自信があるのだ。
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