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まぁ、俺が言ってても本末転倒であるが......。
そんな意味もない思考に陥いながらも門番を目立たない所まで引きずる。
勿論こいつを隠す為にやっているのだが、かなり重い。よくこんな重量の鎧を着れるもんだ。
しかし、こいつ気持ちよさそうにいびきを欠きながら寝てやがる。
多分、今までの仕事の疲労が溜まっていたのだろう。こんな状況でも快眠できるなんて少し羨ましい。
...本当は俺の持っている薬の効力が効いたのが主な理由なんだがな。
この薬は『快眠草』をベースとしたオリジナルの物だ。睡眠作用に加えて麻痺毒も入っている使い勝手がいい代物だ。
でだ、少し種明かしをしよう。
実はあの時、ただパンを食べてるだけではない。俺があそこにいた本当の理由は持っている薬を門番に吸わせる為だからだ。
もう片方の手に瓶の中に入っている粉末状の薬を栓を開けたまま垂れ流しておく。すると丁度風に乗って門番の所まで流れていく。丁度風上にいたからな、こうなることは計算済みだ。あとは効果が効いたのが見えるまで隠れているだけ。
種さえ解れば誰にでも出来る簡単なトリックだ。
でもあの根性には恐れ入った。あいつ一瞬効いてない素振りを見せてきたものだから本気で焦ってしまった。そのせいで一気に自信が飛んだのは言うまでもない。
そもそもこの作戦は懸念材料が多かったし、失敗する可能性だって大いにあった。
だけど基本は思いつきで行動する俺だから気にしない。失敗したらその時はその時だ。そういうのは後で考える。
これが俺だ。
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