この物語の序章

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 現在、あの頃から半年の歳月が過ぎた。  思えば俺の時間感覚じゃ半年も経ってない気もするのだが...。そんなことはどうでもいいか。  まず、その後の俺の話をしないとな。  半年前、城の地下牢で捕まってた俺は 自分が処刑される前日に脱獄した。もし俺が手違いで捕まってしまった時の為に、脱出経路を事前に調べていたからな。  いや、そんなことなんてどうだっていい。  それよりも俺のその後が重要なんだ。    無事にあの忌々しい場所から生還した俺は毎日憲兵から追われる日々が続いた。  何とか逃げ延びることはできた。だがまだ苦難は続く。  俺が指名手配された。お陰様で街中すら自由に歩けなくなってしまった。そのせいで今までの生活習慣がガラリと変わった。  つい最近では温かいご飯を食べていた、が今はどうだ。昔とは変わり黒く変色したパンや汚れた雨水を飲んだりして生き延びている。  信頼していた人にも裏切られた、職も失った、金も地位も名誉も仲間も目標も人権も何もかも全て......。  ...復讐してやる......  このころから俺は世界そのものが嫌いになっていた。
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