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橋の下にたどり着いた僕たちは、それから数分も経たないうちに眠りについた。
お互いによっぽど疲れていたのだろう。
冷たいコンクリートが、疲れた体に心地よかった。
スヤスヤ……
スヤスヤ……
「ん……」
それからいくらか経った頃、僕は蒸し暑さのために目を覚ました。
橋の下は直射日光から隠れてはいるが、気候自体がどうにもならない日らしい。
蒸し蒸しとした暑さに、僕はじっとりと汗をかいていた。
「あれ?」
不意に僕は、隣に蓮の姿がないことに気付いた。
「蓮?」
僕は急に不安になり、辺りを見回す。
「蓮、どこ!?」
バシャ
その時、川の方から蓮が歩いてきた。
「何焦ってるの?」
蓮はきょとんとして俺を見る。
「勝手にいなくならないでくれよ!」
僕は声を大きくして言った。
何故だろう、自分でも分からないくらいすごく不安になった。
「わ、大きな声出しちゃ駄目でしょ!」
今度は蓮の方が焦った様子で、僕の口を塞ぎにかかる。
そしてキョロキョロと辺りを見回した。
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