2章

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誰にも気付かれなかったと分かると、蓮はほっとした様子で僕の方に向き直った。 「暑かったから、少し水浴びしてただけ。」 そう言って、蓮は太ももまでたくし上げていた長ズボンを下ろしにかかる。 「君も行ってくる?」 蓮は川を指差して言った。 「いや、僕は……」 僕は言葉を濁した。 何となく、水を浴びる気分ではなかった。 「それなら、汗だけでも拭き取ると良いよ。」 蓮はそっけなく答えて、僕にタオルを渡した。 水で濡らして絞っており、冷たくて気持ちいいタオルだ。 「ありがとう。」 僕は蓮に礼を言って、汗をふき始める。 次第に、蓮がいないことに大げさに騒いでいた自分が恥ずかしくなってきた。 少し見失ったくらいで、僕は何を心配しているのか。 「天気予報は当たりだね。この蒸し暑さ、雨が降るよ。」 蓮は空を見上げて言った。 それから数時間後、予想通りに雨がポツポツと降り始めた。 「ほらね!」 蓮はまるで自分が予想していたかのように大きく頷く。 「小雨か……」 蓮の言葉を聞き流し、僕は独り言を呟いた。 夕立とは違い、長引きそうな雨だ。
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