2章

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「亘、ご飯にしよう。」 唐突に蓮が言った。 「うん。」 僕は頷いて、袋の中から菓子パンを取り出した。 日保ちしないものは早めに食べなくては。 「食べ終わったら出発しようね。」 蓮はイチゴジャムのパンを頬張りながら言った。 「……よし。 誰もいない。」 それから数分後、蓮は橋の上から辺りを見回し安全確認をする。 僕は橋の下で、荷物を持って待機だ。 「亘。」 橋の上からひょっこり顔を覗かせた蓮が僕を手招きした。 僕は深く傘をさして蓮の元へ向かう。 雨だと顔を隠せて都合が良いかもしれないな…… そんなことを考えた。 「こっち。」 蓮は迷う様子もなく向かう方向を指差した。 案外鋭い方向感覚の持ち主らしい。 蓮は上手に大きな道を避け、裏道を進んで行く。 「亘、前から人が来る。」 しばらく経った頃、蓮が小声で囁いた。 僕は傘をいっそう深くさして息を潜めて歩く。 挙動不審になってはならない。 蓮は数歩僕の前を歩き、前方の歩行者から僕を守るようにして進む。 幾度となく味わってきたが、やはり慣れない瞬間だ。
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