1章

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蓮に急かされ、僕は立ち上った。 10時からじっと息を潜めて座っていたため、肩が凝っている。 「うーん、疲れた。」 僕は大きく伸びをした。 「亘! 早く準備を始めないと!」 蓮は僕の腕をグイグイと引っ張って、台所に連れて行く。 「君はここで食料を袋につめて。」 そう言って、蓮は大きなずだ袋を僕に押しつけた。 「私は2階から服を持ってくる。」 蓮は焦った様子のまま、バタバタと2階へ駆け上がって行った。 こんなに焦るなんて、らしくないな。 僕はそんなことを考えながら、缶詰や飲料水を袋に入れ始める。 これは3回目の引っ越し。 最初は蓮の実家にいて、次は蓮のおじいちゃんの家にいた。 そして今いるここは蓮の親戚の人の家。 家主の夫婦は、今は海外の別荘で暮らしているため空き家のようになっていた家だ。 僕は食料を詰め込み終えると、リビングのソファーに座りこんだ。 2階では、蓮が行ったり来たりしている足音がする。 ピ、 僕はリモコンのスイッチを押し、大きなテレビ画面を見つめた。 念のため音のボリュームは下げておく。
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